10月31日(火)
昨年復活した黒澤明賞の2年目。今年の受賞者は審査委員長のご意向もあり、これからの世界の映画祭を荷うべき若手の映画人に差し上げることになった。初々しい受賞挨拶が好評で、2人ともアジアからの選出となったことを評価する向きも多かった。ある映画界の大御所は、2人の顔つきから才能が満ち溢れていると言い、日本で映画を撮って欲しいなあとコメントしていた。
晩さん会の演出を黒澤監督の映像を中心としてものにしたため著作権のクリアと編集が大変だったが、お客様には喜んで頂いた。
審査委員長の山田洋次監督と黒澤監督のご子息、黒澤久雄氏が最後まで晩さん会に付き合って下さったことにも感謝している。
11月1日(水)
10日間の日程が天気に恵まれ、大きな問題も起らずに終わったことに安堵している。
上映作品数、切符販売数、イベントを含めた動員数、海外からのゲスト数、どれをとっても大幅に増加したことは多くの方々のおかげである。
もちろん映画祭が一段と飛躍するためになすべきことは多い。まず今年の反省を行って、歩むべき道を模索したい。
©2023 TIFF
↑ページトップへ
10月30日(月)
KOFIC(韓国映画振興委員会)のパク・キオン委員長と朝食。釜山映画祭幹部の人事異動が話題になる。加えて、日韓両国の関係が好転しているのを機に、映画の交流を増進したい、更には、広くアジア地域全体の映画協力も盛んにしていきたい、とパク氏が強調。
昼は、フィリピンの監督で大統領補佐官でもあるポール・ソリアーノ氏とランチ。我が映画祭には、過去2回参加している日本ファン。久しぶりの日本を満喫している様子。パク氏と同様、フィリピンとしてもアジア全体の映画分野の交流と協力を強化したいと語る。日本も積極的な取組みが望まれる。
マイクロで、本年の黒澤明賞を受賞したグー・シャオガン監督と山田洋次監督の対談。満員の盛況で、中味も刺激的だった。山田監督がグー監督の処女作『春江水暖~しゅんこうすいだん』を絶讃。観客からは、両監督の次回作を待ち望む声多し。
夜は、今回のバスク映画特集を祝うレセプションをバスク政府が主催。また、ハリウッド・リポーター社が日本での活動を活発化させることを目指してパーティーを開催したので、2つの催しに出席して挨拶。前者はバスク料理が評判。後者は華やかな雰囲気でハリウッドの香りが匂った。
©2023 TIFF
↑ページトップへ
10月29日(日)
映画祭の事務局では、最盛時100人をこえる職員が昼夜を分かたず献身的に職務をこなしている。その任務は、プログラミング、劇場運営、海外関係、イベント周り、スポンサー対応、広報など多岐にわたるが、それを支援する計300人以上のボランティア、インターンの方々の存在も貴重である。
そのうちインターン200名弱は西武文理大学はじめ様々な学校から派遣された学生で、ボランティアは一般応募の中から選ばれた老若男女150人ほどである。彼らは、裏方として劇場での入場業務、海外ゲストの空港送迎、ウェブサイトやイベントのアシスト業務から清掃・ゴミ処理まで、映画祭になくてはならない業務を熱心に遂行してくれており、頭が下がる思いだ。
本日夜は、有楽町micro FOOD & IDEA MARKETで昨年から始めた交流会、トーキョー・シネマ・ナイト。内外の映画人(監督、プログラマー、製作配給会社、メディア等)200名ほどが一堂に会してざっくばらんに語り合い盛況だった。是枝監督他も出席して、若手の映画人一人一人に声をかけて下さった。映画祭では、作品の上映だけでなく、この種の交流こそが貴重である。
西武文理大学インターンとボランティアの皆さん
©2023 TIFF
↑ページトップへ
10月28日(土)
カンヌ映画祭の代表補佐クリスチャン・ジュンヌと朝食。ジュンヌ曰く、今年はあちこちの街角で知人に出くわし、映画祭の賑わいがアップした感がする、と。また、新企画のアジア映画学生交流プログラムはとても意義深いとおほめにあずかったが、もっとPRされてしかるべしだ、と。
そのあとトロント映画祭CEOのキャメロン・ベイリーと昼食しながら懇談。同映画祭(Toronto International Film Festival)はTIFFと略称されていて我々の略称TIFFと全く同じでよく間違われる。「我々は双子の兄弟だ」と肩をたたき合う。とは言っても、トロントのほうは、年間を通して色々な事業を展開していることもあって、予算やスタッフの人数が格段に多い。今後両フェスティバルの連携を強化して行くことで意見一致。ベイリーから、日本の映画祭が韓国に比べて国際場裡への進出が遅れをとっているように思うとして、「頑張れ」とエールを送られた。
毎年実施してきたこどもたちの映画づくり体験「TIFFティーンズ映画教室」は、今年から海外の専門家を交えて映画教育の未来について語り合うシンポジウムも併せて実施することになった。その会合に赴いて挨拶、歓談。我が映画祭として、人材育成の重要性に積極的に取り組んでいきたい。
©2023 TIFF 登壇した中学生チーム
↑ページトップへ
10月27日(金)
FIAPF(国際映画製作者連盟)の映画祭委員会事務局長シャルロット・フルニさんとランチ。各国の映画祭はコロナ禍から立直りつつあるが、運営面特に財政面で困難に直面しているところが多いとのこと。私から今年の東京国際映画祭の対応を説明し、我々は予算的に前年より健全な基盤を確保できたが、今後の飛躍のためにはまだ克服すべき問題がたくさんある旨説明。
午後は、6つの海外メディアからのグループインタビュー。韓国やスペイン等のメディアからは自国の関係する行事についての質問が多かったが、我が映画祭のこれまでの運営状況につき問われたので、上映作品数、海外からのゲスト数やオープニングへの出席者数等が昨年より増加し、これまでのチケットの売行きも好調と説明した。
夜の「小津安二郎生誕120年記念シンポジウム」は、3人の監督(黒沢清、ジャ・ジャンクー、ケリー・ライカート)が各々の小津作品への思いを熱く語って興味深かったが、もう少し時間をとって3人で喧々諤々の議論ができたら良かったな、と思う。
©2023 TIFF 三越劇場で開催の「小津安二郎生誕120年記念シンポジウム」
↑ページトップへ
10月26日(木)
今年は中国からの作品・ゲストがふえており、本日は上海国際映画祭の幹部が来訪。今年から我が映画祭と作品の交流を始めることになり、まずは先方推薦の2作品を上映し、来年の上海ではこちらの推薦する作品を上映予定。加えて、審査委員等人物の交流も始めたいとの申し出あり。
本年6月に日・イタリア映画共同製作協定が署名された。それを祝して、イタリア映画代表団が来日(団長:文化副大臣)。東京国際映画祭では、フランコ・ゼフィレッリ特集と新作イタリア映画が上映され、TIFFCOMではセミナーが盛況裡に実施された。今夜には在京イタリア大使主催のパーティーで盛り上がる。協定締結だけには終わらせず、実際の共同製作や映画の交流が盛んになって欲しい。
今年の新企画としてスタートしたのが、日本、中国、台湾、アセアン諸国で映画を学ぶ学生たちを招いたマスタークラス。講師は是枝裕和監督。監督によるホウ・シャオシェンの思い出話がとても興味深く、好評。アジア映画の未来を担う若者の育成と交流につなげて行きたい。
©2023 TIFF マスタークラス会場にて
↑ページトップへ
10月24日(火)
審査委員長のヴィム・ヴェンダース監督。昨日、日本到着後レッドカーペットとオープニング・セレモニーに直行というきつい日程だったにも拘らず、一夜明けて東京の秋を満喫頂いている様子。彼が小津安二郎について語る映像は、その小津理解がいかに深いかを感じさせて思わず涙が出る。
なじみのすし屋で舌づつみを打つ監督と語り合っていると、映画のみならず日本全般への理解の深さも伝わってくる。
日本の友人たちと旧交を暖めたいが、まずは審査委員長として15本のコンペ作品を鑑賞する役目に専念したいというプロ意識にも感動。
別途ヴェンダース監督以外の審査委員とも会食。日本映画の現状についての感想を求めたところ、アニメの頑張りなど素晴らしいものもあるが、実写映画は全体としてかつての黄金時代の輝きを早く取り戻して欲しいとの意見。
ヴィム・ヴェンダース監督が小津安二郎について語る特別映像は「
小津安二郎生誕120年特集上映 」の先付け映像として各作品の本編上映前に公開中です。TIFF公式YouTubeチャンネルでは、その特別映像のショートVer.を配信中です。
→ 「ヴェンダース、小津を語る 」ショートVer.
VIDEO
↑ページトップへ
10月23日(月)
映画祭がいよいよオープン。秋晴れが嬉しい。オープニングセレモニーの出席者約900名を宝塚劇場入り口で、東宝・松岡社長、東映・吉村社長、松竹・高橋社長と共にお迎えして挨拶。
レッドカーペットは昨年閉鎖的と批判されたので改善に腐心。警備と開放性の両立は容易ではない。
4年ぶりのオープニングパーティーは、約700人のお客様が出席。久しぶりに映画祭らしい賑わいと華やかさが戻った。
特別功労賞のチャン・イーモウ監督とランチしながら、彼の撮影中の新作やアジア城内の映画交流の将来につき歓談。
©2023 TIFF 第36回TIFF オープニングセレモニーにて
↑ページトップへ
10月31日(火)
昨年復活した黒澤明賞の2年目。今年の受賞者は審査委員長のご意向もあり、これからの世界の映画祭を荷うべき若手の映画人に差し上げることになった。初々しい受賞挨拶が好評で、2人ともアジアからの選出となったことを評価する向きも多かった。ある映画界の大御所は、2人の顔つきから才能が満ち溢れていると言い、日本で映画を撮って欲しいなあとコメントしていた。
晩さん会の演出を黒澤監督の映像を中心としてものにしたため著作権のクリアと編集が大変だったが、お客様には喜んで頂いた。
審査委員長の山田洋次監督と黒澤監督のご子息、黒澤久雄氏が最後まで晩さん会に付き合って下さったことにも感謝している。
11月1日(水)
10日間の日程が天気に恵まれ、大きな問題も起らずに終わったことに安堵している。
上映作品数、切符販売数、イベントを含めた動員数、海外からのゲスト数、どれをとっても大幅に増加したことは多くの方々のおかげである。
もちろん映画祭が一段と飛躍するためになすべきことは多い。まず今年の反省を行って、歩むべき道を模索したい。
©2023 TIFF
↑ページトップへ
10月30日(月)
KOFIC(韓国映画振興委員会)のパク・キオン委員長と朝食。釜山映画祭幹部の人事異動が話題になる。加えて、日韓両国の関係が好転しているのを機に、映画の交流を増進したい、更には、広くアジア地域全体の映画協力も盛んにしていきたい、とパク氏が強調。
昼は、フィリピンの監督で大統領補佐官でもあるポール・ソリアーノ氏とランチ。我が映画祭には、過去2回参加している日本ファン。久しぶりの日本を満喫している様子。パク氏と同様、フィリピンとしてもアジア全体の映画分野の交流と協力を強化したいと語る。日本も積極的な取組みが望まれる。
マイクロで、本年の黒澤明賞を受賞したグー・シャオガン監督と山田洋次監督の対談。満員の盛況で、中味も刺激的だった。山田監督がグー監督の処女作『春江水暖~しゅんこうすいだん』を絶讃。観客からは、両監督の次回作を待ち望む声多し。
夜は、今回のバスク映画特集を祝うレセプションをバスク政府が主催。また、ハリウッド・リポーター社が日本での活動を活発化させることを目指してパーティーを開催したので、2つの催しに出席して挨拶。前者はバスク料理が評判。後者は華やかな雰囲気でハリウッドの香りが匂った。
©2023 TIFF
↑ページトップへ
10月29日(日)
映画祭の事務局では、最盛時100人をこえる職員が昼夜を分かたず献身的に職務をこなしている。その任務は、プログラミング、劇場運営、海外関係、イベント周り、スポンサー対応、広報など多岐にわたるが、それを支援する計300人以上のボランティア、インターンの方々の存在も貴重である。
そのうちインターン200名弱は西武文理大学はじめ様々な学校から派遣された学生で、ボランティアは一般応募の中から選ばれた老若男女150人ほどである。彼らは、裏方として劇場での入場業務、海外ゲストの空港送迎、ウェブサイトやイベントのアシスト業務から清掃・ゴミ処理まで、映画祭になくてはならない業務を熱心に遂行してくれており、頭が下がる思いだ。
本日夜は、有楽町micro FOOD & IDEA MARKETで昨年から始めた交流会、トーキョー・シネマ・ナイト。内外の映画人(監督、プログラマー、製作配給会社、メディア等)200名ほどが一堂に会してざっくばらんに語り合い盛況だった。是枝監督他も出席して、若手の映画人一人一人に声をかけて下さった。映画祭では、作品の上映だけでなく、この種の交流こそが貴重である。
西武文理大学インターンとボランティアの皆さん
©2023 TIFF
↑ページトップへ
10月28日(土)
カンヌ映画祭の代表補佐クリスチャン・ジュンヌと朝食。ジュンヌ曰く、今年はあちこちの街角で知人に出くわし、映画祭の賑わいがアップした感がする、と。また、新企画のアジア映画学生交流プログラムはとても意義深いとおほめにあずかったが、もっとPRされてしかるべしだ、と。
そのあとトロント映画祭CEOのキャメロン・ベイリーと昼食しながら懇談。同映画祭(Toronto International Film Festival)はTIFFと略称されていて我々の略称TIFFと全く同じでよく間違われる。「我々は双子の兄弟だ」と肩をたたき合う。とは言っても、トロントのほうは、年間を通して色々な事業を展開していることもあって、予算やスタッフの人数が格段に多い。今後両フェスティバルの連携を強化して行くことで意見一致。ベイリーから、日本の映画祭が韓国に比べて国際場裡への進出が遅れをとっているように思うとして、「頑張れ」とエールを送られた。
毎年実施してきたこどもたちの映画づくり体験「TIFFティーンズ映画教室」は、今年から海外の専門家を交えて映画教育の未来について語り合うシンポジウムも併せて実施することになった。その会合に赴いて挨拶、歓談。我が映画祭として、人材育成の重要性に積極的に取り組んでいきたい。
©2023 TIFF 登壇した中学生チーム
↑ページトップへ
10月27日(金)
FIAPF(国際映画製作者連盟)の映画祭委員会事務局長シャルロット・フルニさんとランチ。各国の映画祭はコロナ禍から立直りつつあるが、運営面特に財政面で困難に直面しているところが多いとのこと。私から今年の東京国際映画祭の対応を説明し、我々は予算的に前年より健全な基盤を確保できたが、今後の飛躍のためにはまだ克服すべき問題がたくさんある旨説明。
午後は、6つの海外メディアからのグループインタビュー。韓国やスペイン等のメディアからは自国の関係する行事についての質問が多かったが、我が映画祭のこれまでの運営状況につき問われたので、上映作品数、海外からのゲスト数やオープニングへの出席者数等が昨年より増加し、これまでのチケットの売行きも好調と説明した。
夜の「小津安二郎生誕120年記念シンポジウム」は、3人の監督(黒沢清、ジャ・ジャンクー、ケリー・ライカート)が各々の小津作品への思いを熱く語って興味深かったが、もう少し時間をとって3人で喧々諤々の議論ができたら良かったな、と思う。
©2023 TIFF 三越劇場で開催の「小津安二郎生誕120年記念シンポジウム」
↑ページトップへ
10月26日(木)
今年は中国からの作品・ゲストがふえており、本日は上海国際映画祭の幹部が来訪。今年から我が映画祭と作品の交流を始めることになり、まずは先方推薦の2作品を上映し、来年の上海ではこちらの推薦する作品を上映予定。加えて、審査委員等人物の交流も始めたいとの申し出あり。
本年6月に日・イタリア映画共同製作協定が署名された。それを祝して、イタリア映画代表団が来日(団長:文化副大臣)。東京国際映画祭では、フランコ・ゼフィレッリ特集と新作イタリア映画が上映され、TIFFCOMではセミナーが盛況裡に実施された。今夜には在京イタリア大使主催のパーティーで盛り上がる。協定締結だけには終わらせず、実際の共同製作や映画の交流が盛んになって欲しい。
今年の新企画としてスタートしたのが、日本、中国、台湾、アセアン諸国で映画を学ぶ学生たちを招いたマスタークラス。講師は是枝裕和監督。監督によるホウ・シャオシェンの思い出話がとても興味深く、好評。アジア映画の未来を担う若者の育成と交流につなげて行きたい。
©2023 TIFF マスタークラス会場にて
↑ページトップへ
10月24日(火)
審査委員長のヴィム・ヴェンダース監督。昨日、日本到着後レッドカーペットとオープニング・セレモニーに直行というきつい日程だったにも拘らず、一夜明けて東京の秋を満喫頂いている様子。彼が小津安二郎について語る映像は、その小津理解がいかに深いかを感じさせて思わず涙が出る。
なじみのすし屋で舌づつみを打つ監督と語り合っていると、映画のみならず日本全般への理解の深さも伝わってくる。
日本の友人たちと旧交を暖めたいが、まずは審査委員長として15本のコンペ作品を鑑賞する役目に専念したいというプロ意識にも感動。
別途ヴェンダース監督以外の審査委員とも会食。日本映画の現状についての感想を求めたところ、アニメの頑張りなど素晴らしいものもあるが、実写映画は全体としてかつての黄金時代の輝きを早く取り戻して欲しいとの意見。
ヴィム・ヴェンダース監督が小津安二郎について語る特別映像は「
小津安二郎生誕120年特集上映 」の先付け映像として各作品の本編上映前に公開中です。TIFF公式YouTubeチャンネルでは、その特別映像のショートVer.を配信中です。
→ 「ヴェンダース、小津を語る 」ショートVer.
VIDEO
↑ページトップへ
10月23日(月)
映画祭がいよいよオープン。秋晴れが嬉しい。オープニングセレモニーの出席者約900名を宝塚劇場入り口で、東宝・松岡社長、東映・吉村社長、松竹・高橋社長と共にお迎えして挨拶。
レッドカーペットは昨年閉鎖的と批判されたので改善に腐心。警備と開放性の両立は容易ではない。
4年ぶりのオープニングパーティーは、約700人のお客様が出席。久しぶりに映画祭らしい賑わいと華やかさが戻った。
特別功労賞のチャン・イーモウ監督とランチしながら、彼の撮影中の新作やアジア城内の映画交流の将来につき歓談。
©2023 TIFF 第36回TIFF オープニングセレモニーにて
↑ページトップへ