本年度審査委員

コンペティション部門国際審査委員

審査委員長

ヴィム・ヴェンダース

By Gerhard Kassner

ヴィム・ヴェンダース

Wim Wenders

映画監督

1945年、ドイツ・デュッセルドルフ生まれ。1970年代のニュー・ジャーマン・シネマの旗手であり、今日の映画界を代表する映画監督のひとりとして知られている。『パリ、テキサス』(84)や『ベルリン・天使の詩』(87)などの数々の映画賞に輝いた劇映画のほか、『Pina/ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち』(11)、『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99)、『セバスチャン・サルガド 地球へのラブレター』(14)、“Pope Francis: A Man of His Word”(18)などの斬新なドキュメンタリーも発表している。2022年、日本美術協会より高松宮殿下記念世界文化賞を授与された。23年には、『PERFECT DAYS』がカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞(役所広司)を受賞。映画監督、プロデューサー、写真家、作家など様々な顔を持ち、写真作品は世界各地の美術館で展示され、写真集や映画本、エッセーなど多くの著作物がある。妻のドナータとともにベルリン在住。12年、デュッセルドルフに非営利のヴィム・ヴェンダース財団を夫妻で設立。これまでの監督作、写真、著作物を収集・保存し、恒久的に一般公開するほか、ヴィム・ヴェンダース・グラントを通して革新的な映画創作における新しい才能を支援している。

メッセージ
東京国際映画祭にまた戻ってこられることを嬉しく思います。以前の私の初めての審査委員長体験は本当に良い思い出しかなく、今でも当時の審査委員の人たちとは交流があり、お互いに「クローディーさん(プロデューサーのClaudie Ossard)」、「ポールさん(作家のPaul Auster)」、「ヴィムさん(監督ご本人)」と「さん」を付けて日本風に呼び合っています。今年の東京国際映画祭は私が敬愛する巨匠・小津安二郎監督の死後60年、生誕120年の記念すべき年に開催されるもので、そんな機会に参加できることは私にとっては特別なことです。

審査委員

アルベルト・セラ

アルベルト・セラ

Albert Serra

映画監督

1975年、スペインのバニョレス生まれ。バルセロナ大学にて文学理論および比較文学の博士号を取得。脚本と製作も手掛けた初監督作『騎士の名誉』は2006年カンヌ映画祭監督週間にてプレミア上映された。以降、多くの監督作がカンヌ、ベルリン、ヴェネチア、ロカルノ、トロントといった名だたる国際映画祭でプレミア上映されている。主な監督作は『鳥の歌』(08)、『主はその力をあらわせり』(11)、ロカルノ金豹賞受賞作『私の死の物語』(13)、ジャン・ヴィゴ賞受賞作『ルイ十四世の死』(16)などがある。2013年、現代美術の祭典ドクメンタにて101時間に及ぶ映像作品“The Three Little Pigs”を発表。2022年の監督作『パシフィクション』はカンヌ映画祭コンペティション部門でプレミア上映され、同年の東京国際映画祭ワールドフォーカス部門で上映された。同作はルイ・デリュック賞をはじめ数々の映画賞に輝いた。2023年、スペインの若い闘牛士2人をとらえたドキュメンタリー“Tardes de Soledad”を監督。これまで数々の美術館や大学、文化センターに招聘されレクチャーを行い、世界各地で特集上映が組まれている。

メッセージ
素晴らしい歴史をもつ映画祭で審査委員を務めることは名誉であり、喜びです。常に責任を伴うものであり、決断を下すのは簡単ではないこともあります。
しかし、未発表のオリジナル作品で私たちに挑もうとする情熱あふれる映画人たちを応援し、手助けする絶好の機会でもあります。そしてもちろん、この東京という素晴らしい街で、尊敬する仲間たちと一緒に審査できることも光栄に思います。
國實瑞惠

國實瑞惠

Kunizane Mizue

プロデューサー

1976年、俳優監督のマネージメントを行う鈍牛倶楽部を設立後、多くの今村昌平監督作品に参加。映画プロデュース作品に、『あつもの』(99)、『KOROSHI殺し』(00、第53回カンヌ国際映画祭監督週間正式出品)、『奇妙なサーカス』(05)、『転々』(07)、『たみおのしあわせ』(08)、『サイタマノラッパー2~女子ラッパー☆傷だらけのライム~』(10)、『恋の罪』(11、第64回カンヌ国際映画祭監督週間正式出品)、『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』(12)、『希望の国』(12)、『PLAN75』(22、第75回カンヌ国際映画祭 カメラドールスペシャルメンション受賞)、『逃げきれた夢』(23年、第76回カンヌ国際映画祭ACID部門正式出品)。そのほか、テレビ朝日「時効警察」の企画に参加。

メッセージ
ええ! 私に審査委員を…、何かの間違いなのでは…、私で良いのですか?
今でもそう思いつつも、映画を劇場で観られる嬉しさも半分あり、身分不相応な審査員という大役をお引受けしてしまいました。
映画の専門的知識も理論も勉強もしておらず、ただ好きな映画を半世紀観てきただけです。
素晴らしい監督たちに出会って、未知なる世界の作品を知って、豊かな人生を過ごすことができています。
この度、映画を愛してやまない市山ディレクターの審美眼のお眼鏡にかなった作品を観る機会を与えていただきましたことを大変光栄に思います。
チャン・ティ・ビック・ゴック

チャン・ティ・ビック・ゴック

Tran Thi Bich Ngoc

プロデューサー

ハノイ映画演劇アカデミーで映画演出の学位、フルブライト大学で公共政策の修士号を取得した。これまで『大親父と、小親父と、その他の話』(2015年ベルリン映画祭コンペティション部門入選)、『第三夫人と髪飾り』(2018年トロント国際映画祭入選、2019年インディペンデント・スピリット賞ノミネート)、『輝かしき灰』(2022年東京国際映画祭入選、ナント三大陸映画祭グランプリ金の気球賞受賞)など国際的評価の高い作品に携わってきた。プロデューサーとしての専門的知見は世界の映画界におけるベトナム映画の成功と評価に貢献している。国際的映画ワークショップとイベントAutumn Meetingの共同創始者として、2013年からベトナムや東南アジアの若手映画人の支援に取り組んでいる。ベトナム映画振興の功績により、フォーブス誌が選ぶ2019年の最も影響力のある女性50人の一人に選ばれた。

メッセージ
第36回東京国際映画祭の審査委員に選ばれて大変光栄に思います。私にとって映画祭は新しい映画と素晴らしい人々に出会える、神聖かつワクワク感の詰まった場所です。この機会を与えてくれた市山尚三プログラミング・ディレクターに感謝します。
私は映画の世界で育ちました。子どもの頃から、映画のカメラマンである父に連れられて、ベトナム中の撮影現場に行きました。大人の実社会とスクリーン上に描かれる多様な生きざまをこの目で見ることができる恵まれた子ども時代だったのです。激変する今日の世界において、映画は他の表現形式が成し得ない方法でコミュニケーションできる力を持っています。審査委員を務めることは、映画という表現方式の進化に対して責任を持つことだという理解のうえで、世界中から選りすぐられた作品を見ることを楽しみにしています。この先に待ち受ける素晴らしい経験に心から期待しています。
チャオ・タオ

チャオ・タオ

Zhao Tao

俳優、プロデューサー

中国出身の俳優、プロデューサー。北京舞踏学院民族舞踊科を卒業し、2000年に俳優としてのキャリアを開始。06年の主演作『長江哀歌』は第63回ヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞。12年に主演したイタリア映画『ある海辺の詩人 小さなヴェニスで』でダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞最優秀女優賞に輝いた。第7回ローマ国際映画祭と第22回上海国際映画祭で審査員を務めた。これまでの出演作は『罪の手ざわり』(13)、『山河ノスタルジア』(15)、『帰れない二人』(18)など。ジャ・ジャンクー監督作『無用』(07)と『海が青くなるまで泳ぐ』(20)にはプロデューサーとして参加した。

メッセージ
来るべき第36回東京国際映画祭に招かれて光栄です。これまでの35年間、数多くの中国語映画がTIFFで見出され、世界各地で鑑賞され、映画史に残る名作となりました。ウー・ティエンミン監督の『古井戸』(86)、ティエン・チュアンチュアン監督の『青い凧』(93)、エドワード・ヤン監督の『牯嶺街少年殺人事件』(91)、ツァイ・ミンリャン監督の『青春神話』(92)などがその例です。この映画祭にはずっと心を惹かれていたので、今回たっぷり参加できる機会に恵まれたことを嬉しく思います。
作家の大江健三郎さんはかつて著作において、旧約聖書ヨブ記から「我ただ一人のがれて汝に告げんとて来れり」という一節を引用しました。大江さんは、小説家や映画監督は人間を取り巻く今の世界を伝えるメッセンジャーであると考えられました。今回、TIFFに入選した作品がどのように私たちの試練や困惑や希望を描くのか、とても楽しみにしています。そして、ほかの審査委員や観客の皆さんとともに、一番新しい映画を味わい、今日の世界への理解を深める旅路に出ることを心待ちにしています。

アジアの未来 審査委員

マーク・ノーネス

マーク・ノーネス

Markus Nornes

ミシガン大学教授/アジア映画研究家

ミシガン大学教授、キュレーターおよび映画作家。研究分野はアジア映画、日本映画、映画と翻訳、ドキュメンタリーなど。山形国際ドキュメンタリー映画祭をはじめ、数多くの映画祭のキュレーターを務める。単著に“Forest of Pressure”(06)、“Cinema Babel”(07)、“Brushed in Light”(21)。共著に“The Pink Book”(21)、「日米映画戦 パールハーバー五十周年」(14/青弓社)、「日本画研究へのガイドブック」(16/ゆまに書房)、「日本戦前映画論集̶映画理論の再発見―」(18/ゆまに書房)。共同監督に『ザ・ビッグハウス』(18)。

レイモンド・レッド

レイモンド・レッド

Raymond Red

映画監督

フィリピンのインディペンデント映画の先駆者。多数の短編映画を制作し、次世代の映画作家たちを指導してきた。『マニラ・スカイ』(09、第22回東京国際映画祭コンペティション部門出品)などの長編映画は数々の賞を受賞し、国際映画祭に出品されている。2000年に短編映画“Anino”でフィリピン人初のカンヌ映画祭パルム・ドールを受賞した。

武井みゆき

武井みゆき

Takei Miyuki

配給会社ムヴィオラ代表

2000年3月にムヴィオラを設立。ヨーロッパ、アジア、北米、中南米、アフリカと幅広い地域の映画を配給。ワン・ビン、アピチャッポン・ウィーラセタクン、ヤスミン・アフマドなどアジアの重要な作家や、リー・ルイジュン、グー・シャオガンら中国の新しい作家を手がけている。中国映画『宇宙探索編集部』(21)が本年10月公開、昨年の東京国際映画祭アジアの未来部門で上映された香港映画『消えゆく燈火』(22)が2024年1月公開。

Amazon Prime Video テイクワン賞 審査委員

行定 勲

行定 勲

Yukisada Isao

映画監督

玉城ティナ

玉城ティナ

Tamashiro Tina

俳優

芦澤明子

芦澤明子

Ashizawa Akiko

撮影監督

森重 晃

森重 晃

Morishige Akira

プロデューサー

戸石紀子

Toishi Noriko

Amazon Studio プロデューサー

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