©2023 TIFF 左からニキル・サチャンさん(脚本)、アルナヴァ・ジョイ・セーングプタさん(プロデューサー/原案)、ジャヤント・ローハトギー監督
10/27(金) アジアの未来『相撲ディーディー』上映後に、ジャヤント・ローハトギー監督、アルナヴァ・ジョイ・セーングプタさん(プロデューサー/原案)、ニキル・サチャンさん(脚本)をお迎えし、Q&Aが行われました。
⇒作品詳細
司会:石坂健治シニア・プログラマー(以下、石坂SP):ゲストのお三方を早速お迎えしてお話を伺いたいと思います。まず『相撲ディーディー』のチームのみなさん、日本文化を愛してくださって、どうもありがとうございます。
ジャヤント・ローハトギー監督(以下、監督):ご覧いただいた通り、私たちは日本文化が本当に好きですから、お招きいただいてとても嬉しいです。
映画祭で私たちの映画を上映していただいたことは、私たちにとって本当に大きな名誉であり、光栄だと感じております。ご覧いただいた通り、日本のスポーツ、しかも女性の相撲取りについての話ですから、そのワールド・プレミアが日本で行われたということは、これ以上幸運なスタートはないと思っています。日本のみなさま、そして他の国々からいらしたみなさま、この映画についてのご感想をぜひお聞かせください。ちょっとドキドキしておりますが、同時にワクワクしております。
アルナヴァ・セーングプタさん(以下、セーングプタ):みなさま、今日はこうして上映にお越しくださいまして本当にありがとうございます。この映画は私たちの気持ちをよく映し出し、心の大部分を占めている映画です。ご存じの通り、インドでは相撲が行われることはありませんので、制作は本当に大変でしたが、こうして映画が完成し、日本の方々に見ていただくことを本当に楽しみにしていました。この映画は、さまざまな方々からご支援をいただき、ようやく出来上がった映画です。特に日本のロケでは、アンシュル・チョウハンさん(日本在住のインド人の映画監督)らの本当に暖かいご支援がなければ、日本でのロケを行うことができなかったと思います。この方々の他にも、日本のどこへ行ってもさまざま方々から温かいご支援をいただいたことに心から感謝しております。
ニキル・サチャンさん(以下、サチャン):みなさま、東京国際映画祭にお招きいただき、本当にありがとうございます。自分たちの作品をこうしてみなさまに見ていただくことが出来て嬉しいのはもちろんのことですが、同時に、この映画の中で描かれているインド人女性の相撲取りが目標としていたところにたどり着いた、映画を通して何かが完成したという感覚を味わっています。この映画は、あの女性についての小さな記事を読んだことがら始まりました。そこには、彼女は相撲取りを続けたいけれども、経済的な理由から諦めなければならないと書かれていました。しかし、この映画を通して彼女の旅を完成させることができ、相撲の生まれ故郷である日本ではじめにお披露目でき、本当に何かを成し遂げたという、とても嬉しい気持ちでいっぱいです。
Q:ヘタルとの師弟関係にはアメリカの映画の『スターウォーズ』のルーク・スカイウォーカーとオビ・ワン・ケノービの師弟関係、『マトリックス』のモーフィアスとネオの師弟関係が色濃く反映されているように思えたのですが、監督および脚本の方はこうした映画との関連性があるのでしょうか?
サチャン:嬉しいコメントありがとうございます。この映画をあのような大作と並べて思い浮かべていただいたことに、感動しております。全くそのようなことは夢にも思っておらず、自分たちで考えついた師弟関係を描きました。そう言っていただけて嬉しいです。
Q:主演のシュリヤム・バグナーニーさんはオーディションで決められたのでしょうか。
セーングプタ:多くの女の子たちをオーディションしました。そのなかでも、シュリヤムさんはNetflixで出演していた短い作品を見たことがあり、素敵な俳優だと思っていました。そして、彼女とを含めた二人を候補として、さまざまなトレーニングを受けてもらいました。その結果、シュリヤムさんが特に強いやる気を見せてくれ、やはり彼女しかいないと思い、主役に選びました。9か月もの間トレーニングを受けてもらいました。ヘタルさん(主人公のモデルになった方)にも実際に参加していただき、訓練していただきました。相撲を取る姿勢などの身体的な訓練をしたり、食事の管理をしたりするだけではなく、相撲取りのように見えて、本人が相撲取りのような感覚を持つという、そこまで訓練してもらいました。
石坂SP:相手の女性力士も、モンゴル、台湾、日本といろいろな国の方が出てきますけれども、彼女たちはアスリートなのか、役者さんなのか教えてください。
セーングプタ:みなさん、プロのアスリートです。教義は、柔道家や相撲取りなど、さまざまです。
Q:今回の主人公はスポーツアスリートとして成功されたということですが、インド国内にはカーストであったり、ジャーティなどの制度があります。これに関して女性がスポーツをすることや、アスリートとして活躍するということに対して、国内で抑圧や制限はあるのでしょうか?今の政権では奏した制限もさらに厳しくなっている気がしますが、実際にはいかがでしょうか?
セーングプタ:インドではクリケットは神様のようなもので、男女問わず、皆が観戦し、実際にプレーをし、応援するスポーツです。そのほかにホッケーやサッカーも人気がありますが、相撲に関してはインドでは誰も知りません。そのなかで、ヘタルがあそこまで上り詰めたことはすべて彼女自身の努力によるものです。一方で、現在のインドでは、政府もスポーツ奨励・振興にかなり注力しています。それだけでなくさまざまな企業もスポンサーとなり、多くのスポーツを推進しようとしています。クリケット、ホッケーだけではなくほかのスポーツも含めてそうです。インドが100個以上のメダルを取るなどということは本当に珍しいことでしたが、現在いろいろなスポーツにおいてそれが花咲いています。この映画が、こうした風潮をより高めることに繋がり、男女問わず皆がスポーツを楽しめるようになったらいいなと思っています。
Q:最近のインドではタープシー・パンヌーやパリニーティ・チョープラーなどの女優たちが女性のプロスポーツ選手を演じている映画があり、スポーツを通して女性を描くムーブメントがあるように思います。そうした背景は、この映画を製作する一因になったのでしょうか。また、インド国内ではどういう形態で上映されるのでしょうか。
監督:たしかに、今おっしゃったような女優たちがいろいろなスポーツ映画に出ていますね。でも私は、映画をつくる目的はストーリーにこそあると思います。それこそが映画の心臓であって、いいストーリーがあればその他はおのずとついてくると思っています。資金を調達するのは、その後の段階です。良いストーリーがあり、そこにちゃんと心があり、奏した物語を正直に語るという姿勢があれば映画はつくれると思っています。
セーングプタ:付け加えるとタープシー・パンヌーやパリニーティ・チョープラーはとても人気がある女優さんですが、この映画にはまったく名が知れていない人が出ていますよね。そこが難しいところでした。加えて、インド国内、海外、そのほかにプロのアスリートを撮るシーンもあるため、予算は非常に多くかかりました。実はこの映画は2018年から制作を始めました。いろいろな場所に行って撮影する傍ら、多くのスタジオにピッチングしていましたが、資金を集めるのは本当に大変でした。そんな中で、リオスタジオというのがこの話をとても気に入ってくれ、ずいぶんと資金的援助をしてくれました。そのような中でなんとか世界に通用する質のものが撮影できるように一生懸命力を尽くしたわけです。リオスタジオにはとても感謝をしています。
インドでは、商業映画館で上映するのと、オンラインで配信するのと両方をしようと思っています。インドでも限られた数の人には観てもらいましたが、みんなすごく気に入ってくれたので両方の形態で見てもらえるのではないかと思っていますが、まだはっきりとは決まっていません。
©2023 TIFF 左からニキル・サチャンさん(脚本)、アルナヴァ・ジョイ・セーングプタさん(プロデューサー/原案)、ジャヤント・ローハトギー監督
10/27(金) アジアの未来『相撲ディーディー』上映後に、ジャヤント・ローハトギー監督、アルナヴァ・ジョイ・セーングプタさん(プロデューサー/原案)、ニキル・サチャンさん(脚本)をお迎えし、Q&Aが行われました。
⇒作品詳細
司会:石坂健治シニア・プログラマー(以下、石坂SP):ゲストのお三方を早速お迎えしてお話を伺いたいと思います。まず『相撲ディーディー』のチームのみなさん、日本文化を愛してくださって、どうもありがとうございます。
ジャヤント・ローハトギー監督(以下、監督):ご覧いただいた通り、私たちは日本文化が本当に好きですから、お招きいただいてとても嬉しいです。
映画祭で私たちの映画を上映していただいたことは、私たちにとって本当に大きな名誉であり、光栄だと感じております。ご覧いただいた通り、日本のスポーツ、しかも女性の相撲取りについての話ですから、そのワールド・プレミアが日本で行われたということは、これ以上幸運なスタートはないと思っています。日本のみなさま、そして他の国々からいらしたみなさま、この映画についてのご感想をぜひお聞かせください。ちょっとドキドキしておりますが、同時にワクワクしております。
アルナヴァ・セーングプタさん(以下、セーングプタ):みなさま、今日はこうして上映にお越しくださいまして本当にありがとうございます。この映画は私たちの気持ちをよく映し出し、心の大部分を占めている映画です。ご存じの通り、インドでは相撲が行われることはありませんので、制作は本当に大変でしたが、こうして映画が完成し、日本の方々に見ていただくことを本当に楽しみにしていました。この映画は、さまざまな方々からご支援をいただき、ようやく出来上がった映画です。特に日本のロケでは、アンシュル・チョウハンさん(日本在住のインド人の映画監督)らの本当に暖かいご支援がなければ、日本でのロケを行うことができなかったと思います。この方々の他にも、日本のどこへ行ってもさまざま方々から温かいご支援をいただいたことに心から感謝しております。
ニキル・サチャンさん(以下、サチャン):みなさま、東京国際映画祭にお招きいただき、本当にありがとうございます。自分たちの作品をこうしてみなさまに見ていただくことが出来て嬉しいのはもちろんのことですが、同時に、この映画の中で描かれているインド人女性の相撲取りが目標としていたところにたどり着いた、映画を通して何かが完成したという感覚を味わっています。この映画は、あの女性についての小さな記事を読んだことがら始まりました。そこには、彼女は相撲取りを続けたいけれども、経済的な理由から諦めなければならないと書かれていました。しかし、この映画を通して彼女の旅を完成させることができ、相撲の生まれ故郷である日本ではじめにお披露目でき、本当に何かを成し遂げたという、とても嬉しい気持ちでいっぱいです。
Q:ヘタルとの師弟関係にはアメリカの映画の『スターウォーズ』のルーク・スカイウォーカーとオビ・ワン・ケノービの師弟関係、『マトリックス』のモーフィアスとネオの師弟関係が色濃く反映されているように思えたのですが、監督および脚本の方はこうした映画との関連性があるのでしょうか?
サチャン:嬉しいコメントありがとうございます。この映画をあのような大作と並べて思い浮かべていただいたことに、感動しております。全くそのようなことは夢にも思っておらず、自分たちで考えついた師弟関係を描きました。そう言っていただけて嬉しいです。
Q:主演のシュリヤム・バグナーニーさんはオーディションで決められたのでしょうか。
セーングプタ:多くの女の子たちをオーディションしました。そのなかでも、シュリヤムさんはNetflixで出演していた短い作品を見たことがあり、素敵な俳優だと思っていました。そして、彼女とを含めた二人を候補として、さまざまなトレーニングを受けてもらいました。その結果、シュリヤムさんが特に強いやる気を見せてくれ、やはり彼女しかいないと思い、主役に選びました。9か月もの間トレーニングを受けてもらいました。ヘタルさん(主人公のモデルになった方)にも実際に参加していただき、訓練していただきました。相撲を取る姿勢などの身体的な訓練をしたり、食事の管理をしたりするだけではなく、相撲取りのように見えて、本人が相撲取りのような感覚を持つという、そこまで訓練してもらいました。
石坂SP:相手の女性力士も、モンゴル、台湾、日本といろいろな国の方が出てきますけれども、彼女たちはアスリートなのか、役者さんなのか教えてください。
セーングプタ:みなさん、プロのアスリートです。教義は、柔道家や相撲取りなど、さまざまです。
Q:今回の主人公はスポーツアスリートとして成功されたということですが、インド国内にはカーストであったり、ジャーティなどの制度があります。これに関して女性がスポーツをすることや、アスリートとして活躍するということに対して、国内で抑圧や制限はあるのでしょうか?今の政権では奏した制限もさらに厳しくなっている気がしますが、実際にはいかがでしょうか?
セーングプタ:インドではクリケットは神様のようなもので、男女問わず、皆が観戦し、実際にプレーをし、応援するスポーツです。そのほかにホッケーやサッカーも人気がありますが、相撲に関してはインドでは誰も知りません。そのなかで、ヘタルがあそこまで上り詰めたことはすべて彼女自身の努力によるものです。一方で、現在のインドでは、政府もスポーツ奨励・振興にかなり注力しています。それだけでなくさまざまな企業もスポンサーとなり、多くのスポーツを推進しようとしています。クリケット、ホッケーだけではなくほかのスポーツも含めてそうです。インドが100個以上のメダルを取るなどということは本当に珍しいことでしたが、現在いろいろなスポーツにおいてそれが花咲いています。この映画が、こうした風潮をより高めることに繋がり、男女問わず皆がスポーツを楽しめるようになったらいいなと思っています。
Q:最近のインドではタープシー・パンヌーやパリニーティ・チョープラーなどの女優たちが女性のプロスポーツ選手を演じている映画があり、スポーツを通して女性を描くムーブメントがあるように思います。そうした背景は、この映画を製作する一因になったのでしょうか。また、インド国内ではどういう形態で上映されるのでしょうか。
監督:たしかに、今おっしゃったような女優たちがいろいろなスポーツ映画に出ていますね。でも私は、映画をつくる目的はストーリーにこそあると思います。それこそが映画の心臓であって、いいストーリーがあればその他はおのずとついてくると思っています。資金を調達するのは、その後の段階です。良いストーリーがあり、そこにちゃんと心があり、奏した物語を正直に語るという姿勢があれば映画はつくれると思っています。
セーングプタ:付け加えるとタープシー・パンヌーやパリニーティ・チョープラーはとても人気がある女優さんですが、この映画にはまったく名が知れていない人が出ていますよね。そこが難しいところでした。加えて、インド国内、海外、そのほかにプロのアスリートを撮るシーンもあるため、予算は非常に多くかかりました。実はこの映画は2018年から制作を始めました。いろいろな場所に行って撮影する傍ら、多くのスタジオにピッチングしていましたが、資金を集めるのは本当に大変でした。そんな中で、リオスタジオというのがこの話をとても気に入ってくれ、ずいぶんと資金的援助をしてくれました。そのような中でなんとか世界に通用する質のものが撮影できるように一生懸命力を尽くしたわけです。リオスタジオにはとても感謝をしています。
インドでは、商業映画館で上映するのと、オンラインで配信するのと両方をしようと思っています。インドでも限られた数の人には観てもらいましたが、みんなすごく気に入ってくれたので両方の形態で見てもらえるのではないかと思っていますが、まだはっきりとは決まっていません。