2023.10.29 [イベントレポート]
北村優衣、城定秀夫監督『ビリーバーズ』は「自分の転機」オーディションでは「一発かましたろう」
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Q&Aに臨んだ北村優衣

第36回東京国際映画祭「Nippon Cinema Now部門」の監督特集「映画の職人 城定秀夫という稀有な才能」が10月29日、東京・角川シネマ有楽町で行われ、漫画家・山本直樹氏の同名コミックを実写映画化した『ビリーバーズ』(2022)が上映された。

俗世の汚れを浄化し、安住の地を目指すため、孤島で修業を重ねるカルト信者の男性2人と女性1人。そんな彼らの異常な日常は、些細な綻びをきっかけにバランスを失い、互いの本能と欲望が暴き出されていく。『ヤクザと家族 The Family』『東京リベンジャーズ』など話題作への出演が続く磯村勇斗の映画初主演作となった。

上映後には城定監督と、教団メンバーの1人で副議長と呼ばれるヒロインを演じた北村優衣が登壇し、観客とのQ&Aを実施した。これまで100本以上の作品を手がけている城定監督は「学生の頃から面白いと思っていた漫画。監督をやって20年のうちで、唯一、自分から企画を出した作品」だと原作への思い入れを明かした。

脚本も手がけ「映画と漫画は違うものなので、根本から変えることもあるが、今回は思い入れがある以上に、1個でも変えると、意味合いも変わってしまう繊細な部分があるので、なるべく原作そのまんまで脚本を作った」。過激な描写もあり、「それをやりきろうと、俳優さんとも話し合った」と振り返った。

体当たりの演技を披露した北村は「この作品に出るってことは、女優として腹をくくったということ」と語り、「自分の転機になる作品。オーディションでも、一発かましたろうという思いだった」と回想した。また、自身が“信じるもの”を問われると「自分の才能を信じないとやっていけないので、大好きな映画に関わらせてもらうためにも、努力を重ねたい」と決意表明した。

映画が封切られた2022年7月8日には、安倍元首相銃撃事件が発生。くしくも宗教問題を扱った本作について、城定監督は「公開中止にならなければいいなと思った」。当初は「あくまで宗教は入れ物で、限定された状況で、男女がどうなるのかがテーマだった」そうで、「映画を撮っているときとは、(作品の)意味合いが変わった。ちょっとゾッとしましたね」と複雑な表情を浮かべていた。

第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催される。
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