2023.10.29 [イベントレポート]
米国に移住したイラン人女性描く『ペルシアン・バージョン』、M・ケシャバルズ監督「米国で作れたことが奇跡」
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マリアム・ケシャバルズ監督

第36回東京国際映画祭のコンペティション部門で米国作品『ペルシアン・バージョン』が10月29日、丸の内TOEI1で上映され、脚本とプロデューサーも兼ねたマリアム・ケシャバルズ監督がQ&Aを行った。

イランから米国に移住した祖母、母、娘の3世代の女性の生き方を通して描かれる家族の物語。ケシャバルズ監督の実体験を基にストーリーが構成されており、「映画の中では8人きょうだいだけれど、私は7人きょうだいなどちょっとした違いはあるが、映画にはいろいろな側面があってそれぞれの女性のストーリーテリングから見えてくる真実もある。私の家族に2時間付き合ってくれてありがとう」と笑顔で話した。

ケシャバルズ監督自身は米国生まれだが、「ずっと書きたいと思っていたが、母から恥だからやめろと言われていた。私が24歳の時に父が亡くなり、その後祖母も亡くなり母が長老となったことでようやく許可が出た」と説明。「米国ではイラン人はテロリストと思われていて、真実とは程遠い。イランの家族や伝統を見せることで、違いを分かってほしかった。プロセスは大変で、米国でこの映画を作れたことは奇跡」と強調した。

さらに、イランでは女性の立場が低いことを指摘されると、「確かにイランで女性がやりたいことをやるのは難しい。イスラム主義では女性が学校に行くことさえ難しい」と同意。その上で、「私の映画の題材の中心には必ず女性がいます。私も両親や祖母からいろいろな話を聞いて学び、自分が信じた道を貫きたいと思った。イランの女性はなかなかあきらめない。非常に強いんです」と矜持(きょうじ)をのぞかせた。

第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催される。
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