36回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門の監督特集「映画の職人 城定秀夫という稀有な才能」で10月27日、『
アルプススタンドのはしの方』(2020)のトークセッションが角川シネマ有楽町で行われ、城定監督、平井亜門、中村守里が出席した。
上映後の会場から大きな拍手に包まれて登場した城定監督は、「ちょうどコロナ禍が始まる直前に本作の撮影をして、仕上げて公開しようかというタイミングで、ちょうどコロナ禍になって。今回(監督特集で)上映される作品の中では一番古いんですが、すごく思い出深い作品」と本作への思い入れを告白。中村は「撮影はすごく短かったんですが、すごく楽しくて今でも懐かしくて。みんなと過ごした夏が思い出に残っています」と笑顔を見せていた。
“アルプススタンドの端っこ”というワンシチュエーションで繰り広げられる会話劇から、輝けない若者たちの青春を鮮やかに活写している。質問コーナーで観客にマイクが渡ると「今日で観るのは50回目」「久しぶりに大きなスクリーンで観たけれど、やっぱりすごくいい作品」と誰もが熱い感想を口にするなど、公開から約3年が経ちながらも、本作が多くのファンを生み、さらに忘れられない作品として心に刻んでいることが証明された。
第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞に輝いた名作戯曲を映画化したものだが、本作に取り掛かるきっかけについて城定監督は「この話を持ちかけてくれたプロデューサーとは、古くからの知り合いで。企画をたくさん振ってくれるんですが、なかなか僕が動き出さないせいで、成立しないことが多かった」と照れ笑い。しかしそのプロデューサーから「高校演劇で面白いものがあるので、映画化したい」と声をかけられた際には、「その演劇のDVDを観ていたら、ものすごく面白いと思って。「今回は俺、本気でやるんで。これは頑張りましょう」と言った」と率直な言葉でスタート地点を振り返り、会場の笑いを誘っていた。
観客から「最後の長回しが印象的。どのような工夫をしたか?」と聞かれると、城定監督は「やるぞと決まってからは、そんなに難しいことはしていないんですよ」と切り出し、「モニターの前で、みんなの息がぴったり合って、うまくいったらいいなと祈っていた記憶があります。工夫はないです。頑張るだけ」とにっこり。また「6日間で撮り上げた作品。「これはすごい映画になる」と思った瞬間は、いつ頃ですか」との質問も上がった。城定監督は、「小さな映画なので、自宅のパソコンで自分で編集をして、エンドロールまで自分で作った映画。絵をつなぎ終わって通して観た時に、自分の映画で泣くという(笑)。それはたまにあることなので、「いい映画ができたな」くらいに思っていた」そうだが、「あまり宣伝もできないような予算の中でやっていたけれど、公開してみたらSNSなどで応援してくれる声が多くて、だんだん広まっていった」と口コミの力を実感したと話した。
また撮影時に使用していたグローブを持参してきた平井は「城定監督の現場は、ものすごくスピーディーに進む。スピーディーすぎて、僕はぶっちゃけちょっと不安だった」と吐露して、会場も大笑い。「スタッフさんから「SNSで盛り上がっている」という話を聞いて。実際に劇場で映画を観て、これは愛される映画なんだなと感触を得ました」と目尻を下げた。邦画では英語字幕が付いて上映される機会がほとんどないことについて意見を求められる場面もあり、城定監督は「本作は、あまり世界に広げようという意識はなかった。改めて英語字幕がついて、海外の人にも観てもらえてうれしく思っています」とコメント。平井は「英語字幕がつくことは、めちゃめちゃうれしいです。(劇中に出てくる)甲子園や「お~いお茶」など、どれだけ日本特有の面白さが伝わるのか、不安でもあり楽しみでもあります」、中村も「海外に映画が渡るのはすごくうれしいこと」と国際映画祭の場で上映が叶ったことを喜んでいた。
第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催される。
36回東京国際映画祭のNippon Cinema Now部門の監督特集「映画の職人 城定秀夫という稀有な才能」で10月27日、『
アルプススタンドのはしの方』(2020)のトークセッションが角川シネマ有楽町で行われ、城定監督、平井亜門、中村守里が出席した。
上映後の会場から大きな拍手に包まれて登場した城定監督は、「ちょうどコロナ禍が始まる直前に本作の撮影をして、仕上げて公開しようかというタイミングで、ちょうどコロナ禍になって。今回(監督特集で)上映される作品の中では一番古いんですが、すごく思い出深い作品」と本作への思い入れを告白。中村は「撮影はすごく短かったんですが、すごく楽しくて今でも懐かしくて。みんなと過ごした夏が思い出に残っています」と笑顔を見せていた。
“アルプススタンドの端っこ”というワンシチュエーションで繰り広げられる会話劇から、輝けない若者たちの青春を鮮やかに活写している。質問コーナーで観客にマイクが渡ると「今日で観るのは50回目」「久しぶりに大きなスクリーンで観たけれど、やっぱりすごくいい作品」と誰もが熱い感想を口にするなど、公開から約3年が経ちながらも、本作が多くのファンを生み、さらに忘れられない作品として心に刻んでいることが証明された。
第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞に輝いた名作戯曲を映画化したものだが、本作に取り掛かるきっかけについて城定監督は「この話を持ちかけてくれたプロデューサーとは、古くからの知り合いで。企画をたくさん振ってくれるんですが、なかなか僕が動き出さないせいで、成立しないことが多かった」と照れ笑い。しかしそのプロデューサーから「高校演劇で面白いものがあるので、映画化したい」と声をかけられた際には、「その演劇のDVDを観ていたら、ものすごく面白いと思って。「今回は俺、本気でやるんで。これは頑張りましょう」と言った」と率直な言葉でスタート地点を振り返り、会場の笑いを誘っていた。
観客から「最後の長回しが印象的。どのような工夫をしたか?」と聞かれると、城定監督は「やるぞと決まってからは、そんなに難しいことはしていないんですよ」と切り出し、「モニターの前で、みんなの息がぴったり合って、うまくいったらいいなと祈っていた記憶があります。工夫はないです。頑張るだけ」とにっこり。また「6日間で撮り上げた作品。「これはすごい映画になる」と思った瞬間は、いつ頃ですか」との質問も上がった。城定監督は、「小さな映画なので、自宅のパソコンで自分で編集をして、エンドロールまで自分で作った映画。絵をつなぎ終わって通して観た時に、自分の映画で泣くという(笑)。それはたまにあることなので、「いい映画ができたな」くらいに思っていた」そうだが、「あまり宣伝もできないような予算の中でやっていたけれど、公開してみたらSNSなどで応援してくれる声が多くて、だんだん広まっていった」と口コミの力を実感したと話した。
また撮影時に使用していたグローブを持参してきた平井は「城定監督の現場は、ものすごくスピーディーに進む。スピーディーすぎて、僕はぶっちゃけちょっと不安だった」と吐露して、会場も大笑い。「スタッフさんから「SNSで盛り上がっている」という話を聞いて。実際に劇場で映画を観て、これは愛される映画なんだなと感触を得ました」と目尻を下げた。邦画では英語字幕が付いて上映される機会がほとんどないことについて意見を求められる場面もあり、城定監督は「本作は、あまり世界に広げようという意識はなかった。改めて英語字幕がついて、海外の人にも観てもらえてうれしく思っています」とコメント。平井は「英語字幕がつくことは、めちゃめちゃうれしいです。(劇中に出てくる)甲子園や「お~いお茶」など、どれだけ日本特有の面白さが伝わるのか、不安でもあり楽しみでもあります」、中村も「海外に映画が渡るのはすごくうれしいこと」と国際映画祭の場で上映が叶ったことを喜んでいた。
第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催される。