2023.10.24 [イベントレポート]
ヴィム・ヴェンダース審査委員長「知的で教養のある議論をしたい」
審査委員会見
©2023 TIFF

第36回東京国際映画祭で、コンペティション部門の審査委員会見が10月24日、TOHOシネマズシャンテで行われた。メンバーは審査委員長のヴィム・ヴェンダース監督をはじめ、『私の死の物語』(13)で知られるスペインのアルベルト・セラ監督、芸能プロダクション・鈍牛倶楽部の代表でもあるプロデューサーの國實瑞恵氏、昨年のコンペに出品された『輝かしき灰』などを手掛けたベトナムのプロデューサー、チャン・ティ・ビック・コック氏、ベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた『長江物語』(06)に主演した中国の女優チャオ・タオの5人。

ヴェンダース監督は、93年にヤングシネマコンペティション部門の審査委員長を務めている。今年は『PERFECT DAYS』でオープニングを飾り、「また東京に戻ってこられてうれしい。昨日のレッドカーペットは美しく、真っすぐではなくクネクネしているのが素晴らしかった。幸先の良いスタートになったね」と満足げな笑みを浮かべた。

東京国際映画祭については、「世界でも素晴らしい映画祭の一つ。直接関わっていない時も常に追っていた」と親日家らしい発言。「私の名称は委員長だが、5人は同等の立ち位置にいる。秀でたメンバーと、知的で教養のある議論をしていきたい」と意欲を語った。

“日本代表”となる國實氏は、「こんな大役を仰せつかっていいのか、毎日ドキドキしています。海外の方にいつから東京国際映画祭に関わっているかと聞かれ、1回目からと答えたら驚かれた。ただ古いだけの人間ですが、光栄に思っています」と謙虚な抱負。タオは「伝統と活力のある映画祭。作品を通して、それぞれの国の暮らしや文化などたくさんのことを学びたい」と語った。

審査をする上での指針を問われ、ヴェンダース監督は「私は映画を作り始める前は、批評を多く手掛けていた。その頃とアプローチは変わっていない」と意味深な笑み。國實氏は「衝撃を受けるかどうかが基準」、セラ監督は「個人的には、自分のクリエイティブに何を与えてくれるかだね」、チャオは「監督が何を伝えようとしていて、どれだけ感動できるかが大事」、ゴック氏は「新鮮な形で見て、感情の琴線にどこまでふれるかですね」とそれぞれに持論を述べた。

第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催される。
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