フォトセッション時にはキャストも登壇
第36回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出された『
エア』が10月26日、東京・丸の内TOEIで公式上映され、アレクセイ・ゲルマン・Jr.監督、監督の妻で美術/衣装を担当するエレーナ・オコプナヤがQ&Aに参加、観客からの質問に答えた。
第二次世界大戦の独ソ戦を戦う女性パイロットが遭遇する過酷な日々を年代記的に描く本作は、これまで描かれることの少なかったソ連の女性兵士に、『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』(18)のアレクセイ・ゲルマン・Jr.がスポットを当てた戦争映画。
ゲルマン・Jr.監督は今回が初来日だったが、1998年の第11回東京国際映画祭では、ゲルマン監督の父親で映画監督のアレクセイ・ゲルマン監督の特集上映を実施。『フルスタリョフ、車を!』などを上映し、ゲストとして招待したという縁があり、本映画祭プログラミングディレクターの市山尚三氏も「あの時もお父さまを映画祭にご招待させていただいたのですが、今回は息子さんもご招待することができて光栄です」と感慨深い様子を見せた。
ゲルマン・Jr.監督は、女性パイロットを主人公に戦争を描こうと思った理由を「実際、第二次世界大戦で、ドイツとソ連が戦っていた時には、多くの女性が戦争に参加していました。統計としては80万人以上となっていますが、おそらく100万人くらいは参加していたと思います。だからそうしたことをきちんと記録することは大事なんです」と明かす。
劇中では、女性パイロットの活躍を新聞が報じたがらなかったという表現や、戦争で戦った多くの女性が勝利を見ずに命を落としたという表現があったことを踏まえ、「生き残った女性パイロットたちは終戦後、国から表彰されたのでしょうか?」という女性客からの質問も。
それに対し、ゲルマン・Jr.監督は「まず言いたいのは、この映画を多くの女性たちと共に作りたかったということ。隣にすわっているイレーナは美術と衣装を担当し、この世界を再現してくれましたし、3人のカメラマンのうち2人が女性。そして編集、プロデューサーを担当したのも女性です。女性のスタッフが多い現場でした」と前置きしつつ、「ただあなたの質問に答えるならば、ある時期までは、戦争を戦ってきた女性が評価されなかった時期は確かにありました。しかしソ連時代からも、戦争で女性が活躍したというストーリーが数多く紹介されるようになり、人々に認識されるようになりました」と付け加えた。
そして観客からは「この映画は、戦争映画であるにもかかわらず、静かな映画だなと思いました。これは監督の意図なのでしょうか?」という質問も。
「静かな映画というのは、一般的な戦争映画というのが爆弾などの大きな音が鳴り響くことが多い、という意味なのかなと思うんですが、そもそも自分はそういう大きな音が鳴り響くようなアクション映画をつくるのは苦手なんです」
さらに、ゲルマン・Jr.監督は「自分の映画で見せたいのはキャラクター。その人の感情や行動を見せたいと思うわけです。幸いにもこの映画にはすばらしい女優たちがいたので、その人たちのキャラクターや演技を、音やエフェクトなどでつぶしたくなかった。その時の感情をリアルに見せたかったんです」と説明する。
その言葉を聞いていたイレーナも、「それはとてもすばらしい質問。この映画の本質を理解してもらったような気がします。最近の戦争映画はうるさいエフェクトや、大きな音が鳴り響く映画が多いですよね。でも“叫ぶよりもささやく”なんですよ。最近はそういう映画が本当に少ないんです」と付け加えた。
第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催。
フォトセッション時にはキャストも登壇
第36回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出された『
エア』が10月26日、東京・丸の内TOEIで公式上映され、アレクセイ・ゲルマン・Jr.監督、監督の妻で美術/衣装を担当するエレーナ・オコプナヤがQ&Aに参加、観客からの質問に答えた。
第二次世界大戦の独ソ戦を戦う女性パイロットが遭遇する過酷な日々を年代記的に描く本作は、これまで描かれることの少なかったソ連の女性兵士に、『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』(18)のアレクセイ・ゲルマン・Jr.がスポットを当てた戦争映画。
ゲルマン・Jr.監督は今回が初来日だったが、1998年の第11回東京国際映画祭では、ゲルマン監督の父親で映画監督のアレクセイ・ゲルマン監督の特集上映を実施。『フルスタリョフ、車を!』などを上映し、ゲストとして招待したという縁があり、本映画祭プログラミングディレクターの市山尚三氏も「あの時もお父さまを映画祭にご招待させていただいたのですが、今回は息子さんもご招待することができて光栄です」と感慨深い様子を見せた。
ゲルマン・Jr.監督は、女性パイロットを主人公に戦争を描こうと思った理由を「実際、第二次世界大戦で、ドイツとソ連が戦っていた時には、多くの女性が戦争に参加していました。統計としては80万人以上となっていますが、おそらく100万人くらいは参加していたと思います。だからそうしたことをきちんと記録することは大事なんです」と明かす。
劇中では、女性パイロットの活躍を新聞が報じたがらなかったという表現や、戦争で戦った多くの女性が勝利を見ずに命を落としたという表現があったことを踏まえ、「生き残った女性パイロットたちは終戦後、国から表彰されたのでしょうか?」という女性客からの質問も。
それに対し、ゲルマン・Jr.監督は「まず言いたいのは、この映画を多くの女性たちと共に作りたかったということ。隣にすわっているイレーナは美術と衣装を担当し、この世界を再現してくれましたし、3人のカメラマンのうち2人が女性。そして編集、プロデューサーを担当したのも女性です。女性のスタッフが多い現場でした」と前置きしつつ、「ただあなたの質問に答えるならば、ある時期までは、戦争を戦ってきた女性が評価されなかった時期は確かにありました。しかしソ連時代からも、戦争で女性が活躍したというストーリーが数多く紹介されるようになり、人々に認識されるようになりました」と付け加えた。
そして観客からは「この映画は、戦争映画であるにもかかわらず、静かな映画だなと思いました。これは監督の意図なのでしょうか?」という質問も。
「静かな映画というのは、一般的な戦争映画というのが爆弾などの大きな音が鳴り響くことが多い、という意味なのかなと思うんですが、そもそも自分はそういう大きな音が鳴り響くようなアクション映画をつくるのは苦手なんです」
さらに、ゲルマン・Jr.監督は「自分の映画で見せたいのはキャラクター。その人の感情や行動を見せたいと思うわけです。幸いにもこの映画にはすばらしい女優たちがいたので、その人たちのキャラクターや演技を、音やエフェクトなどでつぶしたくなかった。その時の感情をリアルに見せたかったんです」と説明する。
その言葉を聞いていたイレーナも、「それはとてもすばらしい質問。この映画の本質を理解してもらったような気がします。最近の戦争映画はうるさいエフェクトや、大きな音が鳴り響く映画が多いですよね。でも“叫ぶよりもささやく”なんですよ。最近はそういう映画が本当に少ないんです」と付け加えた。
第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催。