2023.10.27 [イベントレポート]
『非常線の女』4Kデジタル修復版 世界的トランぺッター・黒田卓也の生演奏で、新たな鑑賞体験に
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第36回東京国際映画祭における“小津安二郎生誕120年特集上映”として、『非常線の女 4Kデジタル修復版』が、TOHOシネマズ日比谷にてワールドプレミア上映された。観客は、世界的なトランペッターである黒田卓也率いるジャズバンドの生演奏とともに、物語を楽しんだ。

本作は、岡譲二と田中絹代を与太者と情婦に配した、異色の和製ギャング映画。ボクサー崩れの用心棒・襄二(岡)とタイピストの時子(田中)は、ある姉弟との出会いを契機に、裏社会から足を洗う決心をする。

上映中は、物語のリズムに合わせ、美しいジャズが奏でられる。音楽が、登場人物の感情をより深く引き出し、物語をよりドラマティックにしているように感じられた。そして、高まる音楽と、突如訪れる沈黙とのメリハリで、より深く作品世界に引きずり込まれていき、新たな鑑賞体験を味わうことができた。バンドにはトランペットのほか、テナーサックス、キーボード、ダブルベース、パーカッション、ドラムスが参加していた。

演奏を終えた黒田は、本企画を振り返り「かなり準備をしました。昔の実際の作品と、4Kデジタル修復版のスピードが違うんです。昔の作品に合わせていたので、今日はけっこうきつかったです」と振り返る。「スタッフさんのご尽力でうまくいって、いまは胸を撫で下ろしています。演奏しながら、自分でたいしたもんだなと思いました(笑)」と、安堵の表情を浮かべていた。

さらに映画の感想を問われると「まず1933年の作品ということで、その頃の日本人の服装、顔つき、生活模様が全く予想とは違っていて、驚きと感銘を受けました」と述べた。

MCが「私はこの企画が持ち上がったときに、絶対に作品とジャズが合うなと思いました。なので、ジャズトランぺッターの黒田さんが引き受けてくださって、絶対にうまくいくなと思いました」と語りかける。黒田は「どんどん音楽が浮かんできて、前半に詰め込み過ぎて、時間がなくなり、後半は1曲の長さが伸びてしまいました」と、笑い交じりに明かした。

第36回東京国際映画祭は11月1日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。
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