2023.10.26 [イベントレポート]
イランの若者の真実描いた『ロクサナ』パルビズ・シャーバズィ監督「厳しい刑罰を受けないことを祈っている」
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第36回東京国際映画祭のコンペティション部門に選出されたイラン作品『ロクサナ』が10月25日、丸の内TOEIで上映され、パルビズ・シャーバズィ監督、主演のヤスナ・ミルターマスブがQ&Aを行った。

その日暮らしの若者フレードが車上荒らしに遭った女性ロクサナを助けたことから、さまざまな困難に見舞われる物語。この日がワールドプレミアで、ミルターマスブは「自分も初めて見てドキドキしている。監督に感謝を言いたい」と話し、2人で熱い抱擁を交わした。

この発言は、シャーバズィ監督はすべてのスタッフ、キャストに脚本を渡さずに撮影をしたことによるもの。ミルターマスブは、「監督のことを尊敬していて、選ばれて光栄だったのでどういう話か聞いたら「そのうち説明する」ということだった。それが撮影の前日になっても脚本を渡されず、クランクイン当日の朝食の時もなかった」と明かした。

シャーバズィ監督は、「裏話はやめてくれよ」と苦笑。これを受けてミルターマスブは、「頭の中で描いているものを、その日の撮影で一部だけをもらえる。最後の1週間でこういう話だと分かったが、そこが監督の素晴らしさ。毎日指導を受けて、心の中からの演技をすることを引き出してもらった。これからの自分の仕事に違う味を出せると思う」と感謝した。

同作はイスラム圏でのアルコール所持による刑罰や、ギャンブル、麻薬、介護などさまざまな社会問題が描かれており、シャーバズィ監督は「厳しい時もあればハッピーな時もある、現実の若者の真実の姿を描いているに過ぎない」と強調。検閲の厳しいイランでは現段階で公開が決まっておらず、「スクリーナーは渡しているが、どういう結果になるかは分からない。厳しい刑罰を受けないことを祈っているよ」と冗談めかしながらも、希望を抱いていた。

第36回東京国際映画祭は、11月1日まで開催される。
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