第36回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品された『
わたくしどもは。』が10月25日、TOHOシネマズ日比谷でワールドプレミア上映を迎え、富名哲也監督とプロデューサーの畠中美奈氏がQ&Aに参加した。
小松菜奈と松田龍平が主演を務める本作は、新潟・佐渡島を舞台に記憶を失った男女の謎めいた過去と運命を描いたドラマ。ベネチア国際映画祭が新鋭監督を支援するプロジェクト「Biennale College Cinema 2018-2019」で、インターナショナル部門9作品のうち日本から唯一選ばれた企画であり、5年の月日を経て、遂に披露されることになった。
富名監督にとっては『Blue Wind Blows』に続く、2作目の長編作品。「長編第1作も佐渡島で撮影しています。撮影が終わった後、言葉に言い表しづらいフィーリングを感じて佐渡金山を訪れたのですが、そこで“無宿人の墓”に惹きつけられました。そして、歴史を調べるうちに「これを映画にしたい」と。ですが“無宿人”のことをそのまま描くと、話が壮大になってしまう。自分なりのストーリーで描けないか……と考えた結果が、この映画になっています」と企画の経緯を明かした。
畠中氏が明かしたのは“佐渡島”との運命的な出会い。「富名と私は夫婦なんです。先祖のお墓が石川県にあって、そこでロケをしようと考えていたのですが、ふと佐渡島が“ピン”ときまして。富名に「行ってみよう」と提案して、2人で訪れてみたら気に入ってしまったんです」と告白した。
小松と松田のキャスティングについては「物語はどこか現実的な話ではありません。そんなシュールな話に対して、どのように説得性を持たせるかと考えた時、役者の方々の“存在感”に頼らざるを得ない。夫婦で撮っている“スモールムービー”なので、ノンプロフェッショナルな役者の起用も当然考えられました。でも「色んな人に見てもらいたい」という思いもあったので、一線で活躍されている方にアプローチしようと。話し合いをしていた時、名前が出てきたのが小松さんと松田さん」と語る富名監督。続けて、畠中氏が「小さな作品にもかかわらず、とても有難い方々に出て頂きました。完成した作品を見てみると、富名の作品に“合っていた”と思いました」と補足していた。
さらに、田中泯&片岡千之助の“身体表現”に関するシーンについての質問も。富名監督は「演出については、細かく指示はしていない」と明かしたうえで「心理劇があるわけでもありませんし、色々な展開のある物語でもありません。そのような形にあまり依存しない映画を作りたいという思いが、今のところはあるんです。そうすると、おのずと身体表現が豊かで、佇まいが良い人をキャスティングせざるを得ない」と語っていた。
観客からは劇中における“色”の豊かさへの言及も。美しい映像表現だけではなく、キャラクターにも“色”の名前がつけられている。実は短編『終点、お化け煙突まえ。』(主演:岸井ゆきの)、長編第1作『Blue Wind Blows』のキャラクターも“色”にまつわる名前となっていたのだ。
富名監督「(手掛ける作品は)基本的に“色”の名前にしています。キャラクターに名前を付けるのは、難しいことなんです。日本語では、人の名前に“色”をつけることは違和感がありませんし、同義語的な解釈も生まれる。さらにパーソナリティをあらわす要素でもあります。自分にとってはつけやすいんです。次の作品も、その次の作品の台本が既にありますが、キャラクターの名前は全て“色”になっています」
第36回東京国際映画祭は、11月1日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。なお、『
わたくしどもは。』は、2024年に全国公開される。
第36回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品された『
わたくしどもは。』が10月25日、TOHOシネマズ日比谷でワールドプレミア上映を迎え、富名哲也監督とプロデューサーの畠中美奈氏がQ&Aに参加した。
小松菜奈と松田龍平が主演を務める本作は、新潟・佐渡島を舞台に記憶を失った男女の謎めいた過去と運命を描いたドラマ。ベネチア国際映画祭が新鋭監督を支援するプロジェクト「Biennale College Cinema 2018-2019」で、インターナショナル部門9作品のうち日本から唯一選ばれた企画であり、5年の月日を経て、遂に披露されることになった。
富名監督にとっては『Blue Wind Blows』に続く、2作目の長編作品。「長編第1作も佐渡島で撮影しています。撮影が終わった後、言葉に言い表しづらいフィーリングを感じて佐渡金山を訪れたのですが、そこで“無宿人の墓”に惹きつけられました。そして、歴史を調べるうちに「これを映画にしたい」と。ですが“無宿人”のことをそのまま描くと、話が壮大になってしまう。自分なりのストーリーで描けないか……と考えた結果が、この映画になっています」と企画の経緯を明かした。
畠中氏が明かしたのは“佐渡島”との運命的な出会い。「富名と私は夫婦なんです。先祖のお墓が石川県にあって、そこでロケをしようと考えていたのですが、ふと佐渡島が“ピン”ときまして。富名に「行ってみよう」と提案して、2人で訪れてみたら気に入ってしまったんです」と告白した。
小松と松田のキャスティングについては「物語はどこか現実的な話ではありません。そんなシュールな話に対して、どのように説得性を持たせるかと考えた時、役者の方々の“存在感”に頼らざるを得ない。夫婦で撮っている“スモールムービー”なので、ノンプロフェッショナルな役者の起用も当然考えられました。でも「色んな人に見てもらいたい」という思いもあったので、一線で活躍されている方にアプローチしようと。話し合いをしていた時、名前が出てきたのが小松さんと松田さん」と語る富名監督。続けて、畠中氏が「小さな作品にもかかわらず、とても有難い方々に出て頂きました。完成した作品を見てみると、富名の作品に“合っていた”と思いました」と補足していた。
さらに、田中泯&片岡千之助の“身体表現”に関するシーンについての質問も。富名監督は「演出については、細かく指示はしていない」と明かしたうえで「心理劇があるわけでもありませんし、色々な展開のある物語でもありません。そのような形にあまり依存しない映画を作りたいという思いが、今のところはあるんです。そうすると、おのずと身体表現が豊かで、佇まいが良い人をキャスティングせざるを得ない」と語っていた。
観客からは劇中における“色”の豊かさへの言及も。美しい映像表現だけではなく、キャラクターにも“色”の名前がつけられている。実は短編『終点、お化け煙突まえ。』(主演:岸井ゆきの)、長編第1作『Blue Wind Blows』のキャラクターも“色”にまつわる名前となっていたのだ。
富名監督「(手掛ける作品は)基本的に“色”の名前にしています。キャラクターに名前を付けるのは、難しいことなんです。日本語では、人の名前に“色”をつけることは違和感がありませんし、同義語的な解釈も生まれる。さらにパーソナリティをあらわす要素でもあります。自分にとってはつけやすいんです。次の作品も、その次の作品の台本が既にありますが、キャラクターの名前は全て“色”になっています」
第36回東京国際映画祭は、11月1日まで、日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。なお、『
わたくしどもは。』は、2024年に全国公開される。